2011年7月9日土曜日

あなたの体はいくらですか?



こんばんは。
さっ、今宵も加藤の時間がやってきましたよ。

暑いですね!
今日の話題はちょっとぞっとして寒くなるかもしれません。

さて、みなさんは人体の不思議展ってご存知ですかね?
本物の人の体を特別な技術をつかって、体の水分や脂肪分を合成樹脂におきかえて保存しているものを実際に見ることができます。
一般の人々に実際にリアルな人体を見ることができる機会が与えられるようになったり、
教育や研究用に使われたりと、この技術によって多くのメリットが生み出されました。

わたしも4年前ぐらいに見にいったことがあります。
横浜でやっていて、一人で行ったら周りはキャーキャーいってるカップルしかいなくて
ちょっと気まずかった覚えがありますw そこを男らしいわたしは一人で鑑賞してましたよ。
 イギリスでも一度いきました。バーミンガムだったかな。キリスト教の影響もあって胎児の展示については見るか見ないかは自分で決めてくださいという文言があったのは印象的でした。
世界中でこの技術を使った展示会は人気だったんですね!

さて、行ったことのある方はどう思いました?
わたしは正直に本物の人だと思うととても恐かったです。
この人たちは生前どんな人だったのかなとか、どこから来たのか不思議でした。
生前にドナーとして献体に同意した方々の体を使っているとのことです。

でも実はこのドナーに少し問題があるようなんですね。
みなさんも少しネットで調べていただくと日本や海外のメディアがドキュメンタリーをつくっているので見ることができますが、ドナーが主に中国やその他の国の同意していない囚人や一般の人だという批判が多くあります。

NEW YORK TIMESは人体を加工する中国の工場の撮影をしています。
英語ですが、画像だけでも内容は結構わかりやすいと思います。
なぜ中国かというのは政治的な問題があったりややこしいのでひとまずおいておいて、
このビデオでは中国で人体を扱うビジネスが大きくなりつつあることがわかります。
しかも多くの雇用も生み出しているんですね。

人体を扱うビジネスはあまり普段わたしたちは直接目にしませんが確実に大きなマーケットです。

人体の展示だけでなく臓器移植の臓器や血液のトレードにおいて、中国だけでなくインドやアジア、中東の貧困層から違法に臓器や血液を安く提供させるという悲しい事実もあります。お金の無い貧困層は収入のために仕方なく提供せざるを得ない状況がありますね。
 
また最近は代理出産が行われることも多くなりましたが普通先進国であれば1000万以上かかるそうですがインドやタイであれば3分の1程度で済むそうです。
現地の代理母たちは普通の年収の5~10倍の収入が得られるそうです。

こうやってみてみると人体に関するビジネスは確実に大きくなりつつあるし、途上国の貧困層や人権の保護されない状況にある人々の犠牲がある一方で、雇用を生み出し貧困層の収入源になっていることも事実です。

ここでわたしには2つのジレンマがあります。
まず、人権を守らず人の体をビジネスの対象にしてお金儲けをする人がいるのは倫理的におかしいとは思いますが、その一方そのビジネスやマーケットが多くの雇用を生み出し、彼らの生計を助けていることは事実です。
2つ目は、みんな先進国と途上国の格差は無くす努力をすべきだとは分かっていますが、安くてすぐ手に入る臓器や安い代理出産の恩恵を受けているのは先進国の人々(わたしたち)で、さらにそのマーケットの需要をつくりだしているのも私たちです。

話が少しそれますが、新薬の開発でも先進国で需要のある薬はどんどん開発されるけれど、途上国特有の病気のための薬の開発はなかなか進まないんです。
先進国であれば新薬開発のために資金が集められますが、途上国特有の病気の薬はその地域でしか需要がなかったり資金を集めるのも一苦労ですね。

みなさんはこの体をめぐるビジネスと人権や倫理、先進国のわたしたちがどうそのビジネスに関わっているかについてどう思いますか?
Mo'Chotto Projectの話し合いでも一度この話題を扱えればなと思っています。



もうご覧になった方もいらっしゃると思いますが、
私を離さないで(Never Let Me Go)という映画はご存知??
Kazuo Ishiguroさんの本を映画化したものですが、臓器移植のためだけに育てられる子供たちのお話です。とても考えさせられる内容ですので本か映画を是非!イシグロさんは日本人ですがイギリス国籍で大好きな作家の一人です。



最後にその映画から一曲!土曜の夜、お家でひとりでいるロンリーなあなたへ。
このロマンチックな一曲をどうぞ。

1 コメント:

臓器マーケットに関するAl Jazeeraの記事です。

http://english.aljazeera.net/indepth/opinion/2011/06/2011622124232636233.html

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